26歳、恋愛経験は中学時代の片思いだけ、オタク期間が長かったので一般社会にはどうも馴染みにくい……というなんだか耳が痛い感じの主人公設定が気になって読んでみようと思いました(笑)あと表紙のうさぎの写真が可愛かった。
オタク(だった)だけあって主人公のヨシカは妄想逞しいし思い込みも強いけど、他人の名を騙って同窓会を無理やり開いたりつわりだと嘘をついて会社を休んだり、無駄に行動力があってぶっとんでいてハラハラできました。そういう考えなしなところが一般社会に馴染みにくい所以だったりするんだろうか。
イチと比べたらニなんて月とスッポン並みにこき下ろしていたヨシカ。デートだって、自分はニの釣りに長時間付き合ってやったのにニは私のアニメイトにも付き合ってくれないし絶滅動物の話にも食いついてこない。だけどイチは私の振った絶滅動物の話にごく自然に乗ってくれて、私たちやっぱり気が合うんじゃないか……と浮かれているところへ、「きみの名前覚えてないんだよね」とさらっと告げるイチ彼。どん底に突き落とされたヨシカはそこでようやくニの愛情の尊さみたいなのを思い知るわけですが、その後も信じていた同期の女の子に裏切られていただとかつわり詐欺で会社を休んだりとか色々騒動の末、ニと仲直りして正式に(?)付き合うことに……ということでハッピーエンド。
散々な目に遭いつつもニが結局ヨシカを許して好きなままでいるというのが、すごいなこの男!と思った。いい意味なのか悪い意味なのか、26にもなって子どもっぽくて青臭いヨシカを「めずらしくて、気になる」みたいなとっかかりで好きになったようだけど、珍獣みたいな捉え方をしているんでしょうか。ヨシカ自身もニのことを「絶滅保護種の飼育委員」みたいに評してたし。
きっとこの先も似たような騒動を起こしそうなカップルだけど、ニは振り回されつつもこの珍獣系の彼女の世話を焼いていくのかなと思った読後感でした。